コロナウイルスを契機に欧米における東洋人差別の嵐が吹き荒れている。
パリでは日本人経営の飲食店に「コロナは帰れ!」とスプレーで大書されており、スペインのサッカーチームマジョルカでは久保建英がコーチから、両眼を釣り上げた「アジアヘイト」の表情で呼びつけられたりしている。
スペイン語、ポルトガル語の圏内である中南米も東洋人差別は活発である。
しかし、最も過激な差別国はドイツで、同じゲルマンの血を引くイギリスもなかなかのヘイト国であることは、オリンピックで北朝鮮の国旗を間違えたという、先進国ではあり得ない現実からも容易に推測できる。
元々、多民族が渦巻く欧州では、自分たちの身を守る必要上から、「他国(正体不明の異国人)蔑視」は自然なものだった。
特に、「ゲルマン民族大移動」で知られるように、東方のフン族に追われてローマ帝国に流入したゲルマン系の東洋排他はなおさらである。
アラン族と戦うフン族。
ヨハン・ネポムク・ガイガー画。
このような歴史がDNAに植え込まれて、ドイツ系民族に過激な東洋ヘイトをもたらしているのは確かかと思う。
しかも、欧州はフン族以外にも、モンゴロイドの襲撃を受けて、残虐な殺され方をしている。
いわゆる黄禍論である。
この延長線上にキリスト教徒の迫害がある。
異教の信奉者であるキリスト教徒はみせしめのために街路灯代わりに燃やされたり、生きたまま闘技場に運ばれて、猛獣たちに食い殺された。
「異端は危険をもたらす」
新型コロナパニックは、生物的本能を刺激したのかもしれない。
親が子供に、「知らない人に声をかけられたら逃げるのよ」と教える行為と似ている。
このような排他的全体主義は、今の日本の田舎でもそうだけど、生物の基本本能なので修正できることはない。
ちなみに、古事記の神武東征は、土着の古代型日本人の討伐を主眼に置いている。
土蜘蛛退治:月岡芳年画
土着の土蜘蛛(語源:天叢雲剣あまのむらくものつるぎ)、「この中央集権化の邪魔だてをする土着の虫けら共め」が神武東征のコンセプトだった。
ちなみに、現在でも使われている「クズ野郎」の語源は、吉野熊野にある地名国栖(くず)である。
土着勢力の一つの拠点だったと考えられる。
こうして考えてみると、ヘイトも中央集権化も全体主義も兄妹、従妹みたいなものであることが分かる。
カエサルは西欧を席巻して言語の統一に寄与し、イエス・キリストは新しい一神教で西欧の多神教を駆逐して宗教闘争を鎮めた。
これがEUの発足に繋がっている。
統一か分裂か、独裁か民主か。
人類狂騒曲は果てしなく鳴り響く。
ゆえに、「東洋人は欧米では差別を受ける」という感覚は持っていなければならない。
アメリカでは、「フォア・ザ・チーム」という概念が強い。
こうした、アメリカの影響を受けて、スポーツ界でも「フォア・ザ・チーム」を叫ぶチームや監督、コーチは少なくない。
はっきり言っておくが、愚かであることを自覚すべきだ。
特に、これからのグローバル化では、「個人があってこそのフォア・ザ・チーム」という考え方を持たないと潰されてしまう。
ドイツのサッカーチームHSVに所属していた、見た目白人のハーフ酒井高徳選手でさえ、彼ひとりがファンから非難され、「人のために何かをするのって、無意味なんじゃないかなと。誰かのため何かをするのは、少なくともサッカー選手という職業においては無意味なんだなと思うに至りました」と語っている。典拠・文春オンライン。
既に、グローバル化時代に突入してしまっている日本人は、この点をよりシビアに考えなくてはならない。
ニューヨークだ、ロンドンだ、ディズニーランドだと騒いでいる能天気な人たちの記事を流してはいけない。
白人のエリアで、日本人が豪邸を建てると必ず、壮絶な嫌がらせが始まって追い出そうとしてくる。
「これくらいは当たり前」と思っていないと、これからの時代は痛い目に遭う。