西村博之さんこと「ひろゆきさん」の書いた『1%の努力』が34万部の大ヒットをかっ飛ばしています。なぜか、売れています。すごいの一言です。読んでいる多くの人は「売れ行きが好調なので、気になって読んでみた」という人たちでしょうけど、意外と面白い。
「世の中、努力信仰で蔓延している。それを企業のトップが平気で口にする。ムダな努力は、不幸な人を増やしかねないので、あまりよくない。そんな思いから、この企画がはじまった」。これが『1%の努力』の出だしです。
といっても、そのような「熱い思い」で書かれた本ではありません。ひろゆきさんは、意外と盛るのが好きなタイプなのです。根っこが有犯罪者の「やさぐれアウトロー」ですからね、盲信は禁物です。
(1)自分で勝てる場所を探せ
彼が語るポイントは「自分でも勝てる場所はどこだ!」です。無努力で勝つ最大のポイントは「ニッチ(大手が狙わないような小規模で見逃されやすい隙間的事業領域)」を探すことなのですね。
しかし、「競争の少ない世界」を目指すやり方は昔からあります。その中のひとつがエロです。アウトローの世界です。
あるスカウトマンがプロダクションを作りました。でも、通常のやり方では大手に対して勝ち目がない。これはどこにでもある話です。それでも多くは大手の模倣をやりがちになります。そのような話はいっぱいありますよね。
たとえば、出版もそうですよね。一人出版などという特異形態が出てきたとしても、所詮は、基本の出版パターンを踏襲しているわけです。
中々、「エロ路線一本で稼ごう」などとは思い切れませんよね。誰でも王道を歩んで、(それなりのステータスを保持したい)と思っているからです。
エロに走るのは追いつめられた人たちだけです。
これは真実です。
風俗で稼いでいる、或いは稼がざるを得なくなった人たちのほとんどは追いつめられた人たちです。だから、何時まで経っても消耗品扱いされ、最後にボロボロになって朽ち果てるわけです。
しかし、そのスカウトマンは最初からエロモノ路線を選んだ。もちろん、脱がせのテクは必需品です。水着やランジェリーから始まって、裸の写真を撮り、最後にはAVに出演してもらう。そのような努力は、当然、つきまといますし、その時代にマッチするかという問題も出てきます。
幸いなことに、その時代はエロブームだった。テレビもラジオもエロの花盛りだった。結局ね、時代の応援射撃ないと無理ゲーになってしまうのですが、時代の波に乗ると一気呵成に成功の花道を駆けあがることができます。それでも、イントロは「誰もやっていないこと」「誰もがやりたくないこと」になるのですね。
(2)ニッチの世界は隠れた王道
わたしの高校の知人は、頭がよくなかったけど人物的におおらかな好感の持てる人でした。しかし、卒業した大学が名前を聞いてもわからないくらいの大学でした。
当然、就職先も決まらず、結局、町の小さな工務店に就職しました。彼が入社した当時は小さな会社だったのですが、プレハブ工法で大飛躍したのですね。小さな会社だったので、社員も多くありません。
プレハブブームで一躍巨大化したため、彼は20代で総務課長に抜擢され、30代には総務部長です。なにしろ人がいないですから出世もすごく早い。このような話は少なくありません。
わたしの叔父も戦時中の中学卒ですが、小さな会社に就職したら、そこがあれよあれよという間に超一流企業になり、常務にまで出世していますからね。
逆に王道と思われているのがドツボだったという例も多数あります。
ひろゆきさんは言います。「学生が企業を選ぶときは、『なんかおしゃれそう』『安定してそう』という、業務とまったく関係のないことに期待して学生が集まるわけです。そのようなロクでもない人材が集まります。そのロクでもない人たちが10年後や20年後にその会社の中堅になっていくわけですから、まあ後は推して知るべしですよね」。
大昔は繊維会社がそうだったですね。人気があるということは、今がピークの時という見方もできます。そこに高学歴の偏差値だけが高いコスパ系のしょぼい人材が寄ってたかってくるわけです。
で、ピークが過ぎるとそのような創意工夫に欠けた、わかっていることしかわからないコスパオンリーIQ知能組では、その衰退を支えきれなくなります。
たとえば、銀行は没落しました。
航空会社も没落しています。
人気系で、それ以降もさらに業績がアップするというケースは少ないとみるべきです。経済環境は常に激変しているので、20年、30年のロングスパンでいえば、そうなることの方が普通でしょう。
(3)お金がなくても生活を豊かにする方法
1番良いのはひろゆきさんが推している無料ゲームや動画鑑賞のようなヒマつぶしではなく、何かを得ることです。たとえば、お金のない料理好きなら安い材料費で美味しいレシピを考えるとか、将来を見越して好きな「実利的な資格」を得るために勉強するとか、強靭で健康な肉体に作りかえることをやるとか。
資格より、実質的な趣味レベルの方が第一人者にはなれなくても、それなりのスキルを得ることができれば、そのスキルを売買したり、個人出版したり、或いはそれを売り込んで就職したり、副業に活用できたりしますからね。
そもそも論ですが、自己決定、つまり自分で決めることができる人はストレスが少ないことや達成感を得られることもあって幸福度が高いんですよ。
お金がなくて時間があればやるべきことはたくさんあるので、あえて無理して稼ごうとしない方が有益なことも多いのではないかと思います。
(4)バカを認識しているとラクに得する
「『自分はバカだ』と思える意識の低い凡人ほどラクして幸せに生きられる」出典元プレシデントオンライン。これも面白いテーマなので取り上げてみます。
「人間には『やる気』なんて本当は存在しないんです。『やる気』という言葉は、『やる気』のない人間によって創作された虚構なんですね。一方、人間には、やりたくないと思っていることでも、いったん始めてしまうとなんだかんだ気分が乗ってきて、その行動を続けてしまう習性があるんです。やる気が出たというのはこれを錯覚しているだけでしょう。だから、目標を立てるときは、行動しやすさを重視して、トコトン低く設定してはどうでしょうか」
「自分に期待するのはやめましょう」とも言っていますね。「自分の能力は、こんなはずじゃなかったのに。そう落ちこみがちな人は、自分への期待が高すぎるのではないでしょうか。『この能力ならば、もっと給料のいい仕事についているはずだったのに』『このスペックならば、早く結婚して、幸せな家庭を築いているはずだったのに』」。
「でも、年をとると、そういう努力で将来を変えることは難しくなります。なので、最初から自分に期待をしすぎず、『まあ、自分の能力はこんなもんだ』くらいの気持ちで過ごしたほうがラクですよね。『自分の能力にたいして期待しない』という前提に立てば、いまからでも、もっといろいろな工夫や対策ができるはずです」
「自分が賢いと思っている人は、自分だけの考えで物事をすすめがちです。なんでも自分一人の力だけでやろうとしてしまいます。他人の意見や力を借りようとしない。でも、自分のなかにあるセンスや経験だけでは、どんなに優れた人でも限界があるんです」
「逆に、自分はバカだと思っている人のほうが、自分以外の人の力を借りて、うまく物事をすすめようとします。そうすると、無駄な努力をしなくなって、生きるうえでのコストパフォーマンスがよくなるんですよね。自分のことをバカだと思っていれば、まず人に頼ることを考えるし、プライドが邪魔して頼れないということもありません。自分のことはバカだと割り切って、スムーズに他人の力を借りながら、ラクをしてみましょう」
なんとなく、ひろゆきさんのエッセンスが感じられる言葉ですね。彼は、常にこのスタンスで生きていますからね、折れそうで折れない強みがあります。
しかし、彼は意外とプライドが強いのですけどね。かなり、執拗で攻撃的な性格でもあるのですが、「このラクして儲けるスタンス」を貫いているので見えにくいですネ。でも見えてしまうとアンチが湧いてきます。もう相当に湧いていますが、「知ったこっちゃない」というアウトロースピリッツで消し飛ばしていますが。
(5)ひろゆきさんと蛭子能収さんは似ている
ドジっぽい蛭子さんが人生相談をしています。
もちろん、中身はしっちゃかめっちゃかです。
そこがいいわけです。
面白いわけです。
Q「私はのめり込みやすい性格なのでどんどんドツボにはまっていく気がしています。博打にハマらない方法を教えてください」
A「ギャンブラーは、休みの日にもお金を増やそうとする働き者」
これですからね。
笑えます。
ちなみに、蛭子さんは新婚旅行なのに3日連続で競艇場に通っていたクズすぎる人です。出典元「女性自身」2021年7月27日・8月3日合併号。
Q「小説を書くコツを教えてください」
A「本を書こうと思うなら人がやらないことをやるべき」
ちなみに、蛭子さんのデビュー作の『パチンコ』はパチンコ店に辿り着けない男の話で、パチンコ台が一切出てこない衝撃作です。
「関係ないコマに毛沢東とかUFOの絵を入れたり、タイトルを不可解にしたりして、読んでいる人に『?』と思わせようとしていました。このようなやり方で最後まで描き切ることです。あとはなんとかなります」。
マネジャーに「がんばって『認知症になった蛭子さん』も書き切りましたものね」と言われた返答がこれ。
「あ、オレ、その本、書いていないし読んでいません」。出典元「女性自身」2021年7月20日号。だいたい、著名人の本のほとんどはゴーストです。本とは基本、そのようなものなんですね。売れれば良いわけですから。
買ってね。
読んでね。
買わないと祟りますからね。